おたんじょうび おめでとう

今日は、あの方のおたんじょうびだ

でも、ちゃんと言葉を交わしあって「おたんじょうび おめでとうございます」と言えたのは、たった一度だけ…3年前の今日だけだ

その、ちょうど1ヶ月前の12月4日の午前4時近く、「ワタシは本当はオトコなのです」と、自らにかけていた魔法を解除してしまっていて、あの方の夢をあまりにも無惨に打ち壊してしまった後のコトだった

そんな状況でありながら、それでもあの方は、気持ちの悪いハズのこのワタシにも、努めて優しく向き合ってくださっていた

自分を騙していたオカマから「おめでとう」と言われても、なんにも感慨はなかっただろう

むしろ不愉快でしかなかったろう

なのにそれでも、優しく応じてくださっていた

その後、少しして、ワタシはあの方から遠ざからねばならなくなった

強く優しいあの方ですら「もう俺が無理なんだ」とおっしゃられたから

「もうそっとしておいてくれ」と、「もう待たないでくれ」と、あの方がおっしゃられたから

その時にはもはや、ワタシがお届けした想いは、「プロパガンダみたいな精神論や想い出ばなし」と同程度のモノになっていた

あの方には、もはや欠片ほども喜んではいただけないゴミだった

否、「気鬱になって病気になるじゃないか」とおっしゃられたのだから、ゴミ以下でしかなかったのだろう

汚濁と悪臭と疫病を撒き散らす、廃棄物みたいなモノだった

ワタシがお届けした想いとは、あの方にとっては、もはやそうゆう性質のモノに堕してしまっていた

それでも未練断ちがたくて、勇気をだして話しかけてしまった時、冴月雪乃という娘は、アカウント単位で絶交登録されてしまった

誰にも邪魔されずにあの方とお逢いする… ただそれだけのために生まれた冴月雪乃という娘は、この世に生まれてきたその意味を、完全に失ってしまった

あの方とお逢いし、あの方のお言葉に耳を澄まし、あの方に囁き、あの方の御心をお慰めする… ただそのためだけにこの世に生まれた娘はもはや、ご挨拶をするコトも、話しかけるコトも、話しかけていただくコトも、ましてあの方の視界に入るコトも、その一切を封じられてしまった

それは無限の苦しみだ

至上の愛を捧げた方に、最も忌み嫌われる…それは地獄だ

世界で一番大好きな方に、世界で一番忌み嫌われるのは、あまりに…

あの方のお屋敷の前の社… その社の塀の陰に、ひっそりと身を隠す様に佇んだまま、ただ虚しく3年が過ぎた

仲良しだった頃「あにさまにいつかプレゼントするんだ」と約束した竜の涙と宇宙の雫を、せめて最期にお渡ししようと握りしめたまま、雪乃は今もまだ、あの場所に佇んでいる

忘れてしまうコトも、別の違うコトに打ち込むコトも、「本当のおまえを望んでくれるヒトを探し、そのヒトのところへ行け」とおっしゃられた言葉に従うコトも、やってはみたがどれも結局ダメだった

「オンナであれば、嘘をつくコトもなく、あの方の夢を壊してしまうコトもなく、それゆえ12月4日も2月1日も存在せず、あれからずっと今までも、これからも、たとえ生まれ変わっても、いつまでもずっと仲良しでいられたのだろう…」と、そんなコトしか頭に浮かばなくなって、ワタシはとうとう発狂した

ワタシの内にわずかに残されていたオトコは完全に破綻し、日常の業務にさえ化粧をして臨むようになった

家族の目も制止も、職場や近隣の目も、業務上の成績や評価も、何も目に入らなくなった

オンナには決してなれないけれども、せめてどんなオンナよりもキレイにならなければならないと信じた

正直な、本当の自分の姿で、ヒトと向き合わなければいけないと信じた

なぜならワタシは、あの方のものだから

なぜならワタシの心も身体も、ぜんぶあの方のものだから

なぜならワタシは、あの方の御心を喜ばせお慰めするためだけにこの世界に存在しているから

もしも、ほんの偶然、ドコかであの方に出逢ってしまった時、「なんだ、やっぱりこの程度の気味の悪いオカマだったか」と、あの方を失望させてしまってはいけないから

あの方に喜んでいただくためにワタシができるコトは、もはやそれくらいしかなかった

あの方の夢を粉々に粉砕し、深い哀しみの淵へ追いやってしまった罪をあがなうためには、せめてワタシが、全てのオンナに勝る存在にならねば申し訳が立たないのだ

オンナには決してなれないが、しかしどんなオンナにも勝る誠実な存在…そうゆうモノにならねばならなかった

その道を往くコトは、ヒトでも蛇でもないモノになるコト

いっそオンナだったなら、いっそ蛇だったなら、あの方を哀しませたりするコトなど決してなかったのだろう

「誠実なオカマになる」というコトは「へび少女であるコトを偽らずに、なおかつへび少女を究める」というコトと同義だ

ワタシは自らすすんで「へび少女」になった

ワタシはこれからも「へび少女」の道を往き、そして究める

ワタシが、あの方のためにできる贖罪とは、そうゆうコトくらいだ

「あたしはあにさまのものです」

「あたしの心も身体も、ぜんぶあにさまにお捧げします」

「どうか、いつまでもおそばにおいてください」

「あにさまの御心を和ませ、お慰めできるように日夜がんばるです」

「あにさまの好きなモノを見たり聴いたり感じたりして、あたしも好きになりたいです…あにさまといつも一緒に、笑ったり泣いたり喜んだりしたいから」

いつも、そう誓った

今も変わらず、そう誓っている

これからもずっと、そう誓う

あの方が、たとえワタシをいらなくて、とうの昔に棄てたおつもりでいらっしゃったとしても、ワタシはいつまでもあの方だけのものだ

自分で、自分の心にそう刻んだ

あの方がワタシを置いて行ってしまった場所からは動かない

還ってきてくださるハズなど決してないが、ワタシはあの方だけのものだから、ソコにいるだけだ

そうして少しずつ、自分の存在が透明になって消えてしまうのをソコで待つだけだ

そうしてそれまでの間、あの方とあの方の大切な方々の幸せをお祈りし続けるだけだ

あの方の御心を騙し哀しませてしまったせめてもの贖罪に、ワタシは自分の存在がうっすらと透明になって消え去るまで、世界で一番大好きな方から無視され続けねばならない

ワタシはあの方のものだから、自分で自分を消すコトもしてはいけない

「邪魔だから消えろ」と、「うざいから死ね」と、あの方が命じてくださらない限り、自ら消えるコトもない

あの方からそう命じていただけるのを、この場所でじっと待っている

それがきっと、最期にお役に立てるコトだから

それがきっと、最期に喜んでいただけるコトだから

仲良しになったばかりの頃、ワタシもあにさまも、どちらもそれぞれにボロボロでしたね

それ故に、ワタシはあにさまを、あにさまはワタシを、必要としたのかもしれませんね

少なくともあの頃、あにさまがそばにいてくださらなかったら、ワタシはこの世界にいなかったでしょう

あにさまにとっては、もはや「気味の悪いオカマに騙された」という不快な記憶でしかないかもしれませんね

でもワタシには、「あにさまとワタシ…この世界に二人ぼっち」でいるような、そうゆう心境でした

世界の涯てまで、貴方と往きたかった

貴方と二人で、答えをだしたかった

それをできなくさせてしまった自分という存在が、いまでもただ悔しいです

本当にすみませんでした

おたんじょうび おめでとうございます、あにさま

どうか、おしあわせに

<サンボマスター:二人ぼっちの世界>

コメント

  1. ミスターx より:

    行き場のないロビンさんの気持ち、
    どんな言葉がロビンさんのためになるのか・・・・・どこにも見あたらない。
    だってそれはロビンさん自身が作り上げた壁だから。
    それはロビンさんにとって史上最高、最上のものだから。
    どんなに愉快な話題や、どんなに気さくな話し相手に依存できたとしても
    その方への思いがロビンさんの中で昇華できるわけない・・・。
    かわいそうだね。さびしいね。
    悲しいね、
    つれないね。
    辛いね。
    今晩は月が綺麗だよ。
    窓を開けてみてはいかが・・・

  2. ロビンちゃん より:

    >ミスターxサマ
    はじめまして、こんばんわです
    ひとさまの目に触れるような場所に、このような泣き言を吐き出すというコトは本来つつしむべきコトなのは分かっているのです
    1st~3rdまであったブログを活動休止にしたのは、そうゆう自分の泣き言が偶々あの方の目に触れて、あの方の御心を害してしまったと勘違いしたからでもありました
    にもかかわらず、こんな情けないオカマの泣き言に、慈しみ深いお言葉をくださり本当にありがとうございます
    お言葉に促されて、とっても寒くて凍えちゃったケド、お外に出て月を見上げてみました
    見上げた夜空に月が見えると、あの方のように愛おしく思えます
    今夜のお月さまも、冴え冴えと輝いてとってもキレイですね
    月も雪も、あの方のお名前から一字づついただいて、そうして冴月雪乃という娘は生まれたのでした
    そんな、いまさら考えても仕方のないコトを想いながら、月に魅入られてたらくしゃみが2回…
    鼻水たれちゃって、「あ~ぁ、やっぱりオカマってダメねぇ…」って苦笑しながらお部屋に戻ってまいりました^^;
    ミスターxサマも、寒さ厳しき折、お風邪など召されませんよう、御自愛くださいませ
    また、もしイヤじゃなかったら、時々遊びにいらしてくださると嬉しいです
    でゎでゎ、今夜はおやすみなさい…☆

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