中古PCを幸せにしてやる方法

(へ? なんでいきなりコレ←かって? 記事の最初の画像がTopのインデックスに反映されるからなんだケド… 骨董なPCの画像より良いっしょ? ダメ? いくないw?)

ジャンク屋の店先で足を止める

む~かし使ってたノートPCと同型(MMX266MHz メモリ32MB 貧弱なトコがむっちゃかわゅす♪)のが3000円で出てる

(良い機種だったなぁ LetsNote CF-S22…  トラックボール搭載ノートなんて、この後すこし作られて、その後は絶滅… でも、ポインティングの精度や素早さはタッチパッドやアキュポイントの比じゃなかった ましてマウスみたいに面積も要らないし…)

パーツ取りするか、じゃなきゃDOSでも載せて遊ぼうかな…なんてつもりで安易に購入

電源入れてみるとBIOS起動後Win95が…と思ったら、なんとXPが動いてらww

「おー、いっちょまえじゃん♪」と、嘆声をもらしてしばらくすると…

ログイン画面キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!(やっぱりね^^;)

クリックだけでいけるのか…と思ったら、案の定パスワード入れろって言われちゃった

「そんなの前の飼い主じゃなきゃわかんねーじゃん」って苦笑しながら、一旦ディスプレーを閉じてスタンバイモードへ

さて、どうしてやるべかな バラしてパーツ取りしちゃうか、フォーマットして違うOS載せちゃうか…

などと方策を考えながら、店先でそうしたようにもう一度、ソレを裏返してみたりカードスロット内の汚れを確認したりする

キズがいくつか、ステッカーを貼った跡、キーボード印字の消え、etc…

もう一度開いてみれば、当たり前だけどスタンバイからの復旧画面

ログインパスワード入れろ…

「あぁそうか… コイツは昔の飼い主の帰りをいまでも待ってるんだな…」と納得した

昔の飼い主の名前をシステム領域の深層に刻み込んだまま、要らなくなって棄てられたのを、コイツはまだ自覚していないのだ

まだ自分は昔の飼い主のモノだと思っているから、そうゆう所作をして余人を退けるのだ

自分は、そのヒトだけのモノなのだと主張し続けるのだ

こんな役に立たない道具はない

そいつ専用のカスタム機ってゆうのは、他人にとってはただのガラクタでしかないのだから

ましてその所有者にも棄てられたのだから、もはや誰の役にも立たない

システムを消去するのも面倒だったのか、あるいは最近の中古屋じゃ値がつかないような骨董品だから、OS入れて「完動品」としていくぶんでも値をつけてもらおうとしたのか、昔の飼い主の、その真意は判らない

ひょっとしたら、自分にのみ従順な奴隷を見せびらかす趣味のある、極Sな飼い主だったのかもしれない

「こいつ、売られちまったのに、まだオレだけが唯一の自分の主人だと思って、けなげなツラして待ってるんだぜw」って、買ったヒトに示威したかったのかも知れない

そういう飼い主の帰りを待ちながら、コイツはジャンク屋の片隅でひっそりと、埃にまみれて眠っていたのだ

機械というのは本当にけなげだ

与えられたコマンドに対して従順だ

目的遂行のためになら、自壊し消滅してしまうコトすら一顧だにしない

ステイの命令が解除されない限り、物理的な破損や経年劣化によって起動しなくなるまで、ずっとこうしてコマンドを維持し続ける

このマシンはかつて、飼い主の役に立ってちゃんと満足させていたのだろうか

どんくさくて、不安定で、すぐ固まって、なんにもしてないのにブルーバックエラーを吐いたりして、飼い主を困らせたりしてはいなかっただろうか

MXやnnyで落としたエロ画像やmp3データやromなんぞをHDDにたんまり保存して、飼い主を喜悦させるコトもあっただろうか

こんな骨董品にXPを載せているのだから、けっこうマニアックな使い方をしてきた飼い主なのだろう

キーボードの文字のスレ具合やステッカーを貼ってもらったりしてたトコからすれば、あんがい重宝されて役に立っていたのかもしれない

カスタマイズやステッカーは、ある意味でその飼い主のシュミに合わせて施された調教でありタトゥーだ

売られてしまった今となってはそういったタトゥーなど惨めに見えるだけだが、それでも飼い主からある種の愛情を注がれていたのだとしたら、なんとなくではあるが少しだけ嬉しい

大したワケもなく、役に立たなくなって売られた… そうでなければ、少しだけだが確かに嬉しい

こいつの在りようが、自分と二重写しの様に重なって見えたからだろう

でだ、コイツをどうしてくれようか… というトコで、ワタシは今も考えがまとまらずにいる

コイツを「何らかのカタチでPCとして使う」というなら、フォーマットしてOSを再インストールするだけのコトだ

幸いなコトに、そのためのツールもユーティリティもちゃんと残っている

が、あえてそうやって復活させたところで、この時代遅れの骨董品の、健気でぎこちなくてしかしながらあまり便利ではない給仕を待てるほど、ワタシの側は悠長ではなくなってしまっている

コイツが生まれて以降の10年ほどの時間の内で、そういう風に贅沢に慣らされてしまったのだ

だからもし復活させるにしてもGUIタイプのOSではないだろう

DOSでも載せて、コマンドをキーボードから打ち込んで何かさせるなら、まぁ良い速さで処理するだろう

「PCとして用いる」という前提から考えると、せいぜいそういったサーバー的な使い方しか思いうかばない

部品取り用と考えるのならば… ソレも良いのかもしれないが、わざわざ完動品のコイツをバラして、自分の改造しまくったドーピングPCに充てる… というのも、なにやら本末転倒な気がしないでもない

コッチに元のPCからパーツを移植するというのも、なんだか二度手間でしかない様な気がするし…

というワケで、どちらかが動かなくなるでもしない限り、パーツ取り案は保留w

普通に考えれば、再インストールしてWin98SEにでもアップグレードするのが妥当なのだろう(WinME? はて、何のコトやら…w?)

決して自分の元に還ってきてくれるハズのない、前の飼い主の記憶をフォーマットで消し去り、新たなコマンドを与えて違う用途に充ててやる… というのも、コイツを幸せにしてやるためのひとつの方策なのかも知れない

が、やはり気がすすまない

前の飼い主の記憶を抹消してしまう… という行為は、あまりにも哀れに想える

健気に、忠実に、永い眠りについて飼い主を待ち続けていたコイツの、その存在自体を否定してしまう気がしてイヤだ

ソレはつまるところ、いまの自分の在りようの、全否定にも繋がるコトだから

結局ワタシは、コイツをどう処遇するべきか考えあぐね、再びディスプレイを閉じて眠りに就いたコイツの寝姿を今日もぼんやりと横目で眺めている

「ま、いっか 3000円だったし…」と、自分で自分を納得させ、前の主人を待たせてやるコトにした

経年劣化で起動必須のパーツが逝っちゃうまで、それまでゆっくりおやすみ

本当のご主人と、夢で逢えたら良いね…☆

<奥村チヨ:恋の奴隷>

コメント

  1. なな より:

    きっとね。そのパソコン、すずに拾って貰うためジャンク屋ですずの心、誘ったんだよ。
    名前ぐらい付けてあげてもいいかも。

  2. ロビンちゃん より:

    >ななサマ
    ふむー、名前かぁ…
    なんだか、自虐的に自分のハンドルネームとかつけちゃいそうなカンジがするなぁ
    きっとコイツにも前の飼い主からもらった名前があったんじゃないかな
    だから「コイツ」とか「おまえ」とかで良いかなぁって思ってるょ
    甘い夢を見てる中で、うっすらと意識が消えていって、そうして気付かないうちに最期を迎えられたら、コイツもあたしも幸せなのかもしれないね
    その程度で満足しておかないと、自分が分不相応な欲張りになりそうでこわいょ

  3. ビバメヒ より:

    WINーME。ウィンドウズミレニアム。親父の最初のマシンのSEがそうでした。
    中古PCの話は、楳図漫画そのものだったな。変われないが故に追い詰められてしまう者を見つめる視線。『おみっちゃんが今夜もやってくる』はキツイ話で、『私は真吾』はハッピーエンドだったと思うが、今回の随想は、後者っぽくて好きだな。

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