ないものねだり

Facebookを通じて、あの方の幾分かの近況を知るコトができる

無論、トモダチ申請をしてあるワケではなくて、数理統計学的かつ熱情的な検索の結果、ほんの偶々発見できたのだ

だからあの方は、ワタシがそうやって近況を見に行っているコトを知らない

発見以来、きわめて謹直に足繁く通っていて、日に数回~数十回は見に行く

ワタシが無職の上に、親・身内・友人といった、関わるべき一切の他者を身近に持たぬダメ人間に堕しているせいもあるのだろう

定職に就いていたり、誰かと否応なく関わらなければならぬ状況下にあれば、さすがにこれほど頻繁には見に行く暇がないだろう

しかしこれは、回数の問題ではないのかもしれない

客観的で冷静な視点から見れば、これはもしかしたら… 否おそらくきっと、明らかにストーキングにカテゴライズされる行為に違いない

そうされているコトを知ったら、あの方もきっと、気味悪く不快に思うコトだろう

が、だからといってワタシは、己の行為を卑下するつもりはない

2007年の2月1日、あの方に近寄るコトも、手を振るコトも、まして話しかけるコトも、ワタシは拒絶されてしまった

それでも好きだと思ってしまうこの気持ちは、どうにも圧殺のしようがない

あれから6年近い歳月が流れようと、毎夜床に入れば、届かぬ想いのやるせなさに涙は止まらず、すぐに寝付くコトなど今もけっして叶わない

しかし一方で、好きだと思っている当のワタシは、あの方にとってはもはや不要な存在なのであって、不快な存在なのであって、なおかつ心を深く傷つけてしまった罪人なのだ

だから、ワタシがワタシの想いに負けて、あの方に無遠慮に近づいてしまってはいけないのだ

ワタシがあの方を好きであればあるだけ… 好きであるならば尚更、あの方に近づいてはいけないのだ

そのように封殺されてしまっているから、ワタシの想いは、もはやドコにも行き場がない

遠くから、物陰から、決して気付かせないように、あの方の様子をこっそりと見るくらいにしておかなければならない

そんな風に、半ば狂おしい想いで、日ごと夜ごと近況を見に行く

近況は、さほど頻繁に更新される様子ではない

最近は政治がらみのおはなしが多いが、直近の話題というワケでもない

もしかしたら、プライバシー設定で見えなくなっているのかもしれない

それでも、数年前に更新を止めてしまったブログ以降のご様子がわずかだが垣間見れて、それだけで充分に嬉しい

何に関心があり、どんなコトが好きで、どんな口調で話題を論じるのか、その片鱗でも知るコトができるのは無上の悦びだ

ご一緒できた時間はほんの4ヶ月ほどだったから、あのころ教えていただいた好きなモノ・コト以外の、最近の嗜好を教えていただけている様で、妙に気分が昂ぶる

知らないコトバや名詞は片っ端から調べるし、あの方と同じように、自分も好きになりたいと思う

そういう気持ちは、何も変わってはいない

あの頃と一緒だ

時々、新しいおともだちが追加されたという情報が表示される

おともだちのなかには、若くてかわいらしい女の子が加わるコトもある

「おにいさん設定な方だからなぁ きっと面倒見が良くて頼られちゃったりしてるんだろうなぁ…」 などと、苦笑したりする時もある

が、心が閉塞している時はそうもいかない

「なぜワタシはソコに表示されていないのだろう…」などと考え出して、考えだすと否応なく我が身が情けなくなる

ワタシは、なぜダメだったのだろうかと、問うても仕方のない自問に苛まれ始める

プロフィール画像で微笑んでいるその娘さんの、そのディティールを仔細に見つめる

嗚呼、細くて華奢な指だなぁ

キメ細やかで、白く美しい肌だなぁ

小さな、かわいらしい桜貝みたいな爪だなぁ

目元も口許もふっくらとやわらかそうで、女の子そのものだなぁ

そう、思う

ワタシにはないものばかりだ

ワタシも、この娘さんの様にちゃんとした女だったら、ココに並んで表示されていたのだろうかと思ったりする

色々と、ワタシなりにがんばった

がんばったが、どうやってもワタシは女にはなれない

どうやったところで、決して女ではない

女のマネをしている男でしかない

それも上手なマネではない

両親も兄弟も身内も友人も職もなくし、明日の方途をも知れず、そうなっても構わないと思った… あの時の気持ちにウソはない

ウソはないが、それらを失って得たモノは、下手なモノマネ芸程度のシロモノでしかない

分かっていたさ

そんなコトは、覚悟の上でやったのだ

オトコがオカマになってみせたところで、去っていった愛おしいヒトの心が還ってくるわけではない

愛おしいヒトのもとへ、わきめも振らず駆け寄っていけるワケでもない

百も承知の上で、それでも已むに已まれずオカマとなったが、今あらためて我が身を振り返り、そして思う

その娘さんが、心底から羨ましいと

ストーキングなどしなくても済むような「普通のなかよし」に、ワタシもなりたかったと

ささやかな願いであるようにも思えるが、罪人であるワタシには、きっとそれでも、分不相応なほどに大それた願いなのだろう

いつまでたってもないものねだりだ

サンタもさすがに、こういう中年のオカマには応えようがなかろう

朝まで待ってみたが、どうやらウチには来なかったようだ

<梅宮辰夫:番長ブルース>

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