サウイフモノニ ワタシハナリタイ

この世に生き永らえ、その永らえた分だけ業は積み重なり、己が理性を拘束する強固な縛鎖となる

ワタシの如き凡人は、生きて、苦闘し、煩悶した分に見合うだけの、相応の見返りを欲するようになる

苦闘した分に見合うだけの、生きた手応え

懊悩した分に見合うだけの、生きる悦び

己が愛した分に見合うだけの、他者からの愛

そういった報酬を願うようになる

報われるコトを願うようになる

支払った分に見合う報酬を得られぬ時、心は拗ね、「何故?」と問い、「しょうがない」と己を慰め、それでもまだ足らぬとなれば、終いには天に向かって呪いのコトバを吐きかけるようになる

天を呪うコトバを吐いた時点でワレワレは堕天し、相手が誰であろうと構わずに毒を吐きかける怨霊とか蛇女に堕ちるのだ

怨霊に堕ちるギリギリの所で、ワタシは踏みとどまらなければならない

呪いのコトバを吐く前の段階で、ワタシはなんとしてでも踏みとどまらなければならない

堕天し、怨霊となるのを回避するためには、身の内にくすぶる「業」という厄介なモノから解き放たれなければならない

報酬を求めるココロが業を生むのだとしたら、ワタシはあらゆる報酬を諦めねばならない

生きる悦び

生きる手応え

己がこの世に生きたという証

誰かから愛される悦び

そういった、生き永らえるコトによって得られるかもしれぬ一切の報酬を期待してはならない

それら一切を、諦めなければならない

諦めた上で、この身を捧げねばならない

報われるコト、想いが届くコト、生まれてきて良かったと思うコトを一切諦め、その上で、愛おしい者の幸いのために、躊躇うコトなくこの身を捨ててしまえなければならない

生き永らえ、この生の尽き果てるその末期の瞬間まで、願いの一切を諦め続けながら、それにもかかわらず、この身を捨ててでも捧げるべき機会の来訪を、ただじっと待ち続けねばならない

それは来ないかもしれない

否、おおかたきっと、そんな機会は訪れないだろう

それでも待ち続けねばならない

予想通り、末期の瞬間まで待っても来なかった時には、これもまた諦めなければならない

そういう人生だったのだと、諦めなければならない

諦めた上で、魂魄の抜けたこの役立たずの肉体が、何者かの役に立つコトを期さねばならない

草木虫獣の糧として、葬祭業者の糧として、幾許かの役に立つコトを期さねばならない

月に昇った兎の如くに在らねばならない

期待するコトなく、そのような機会を今際の際のその瞬間まで待ち続け、また仮にその機会が来なくても易々と諦め、そうなればなったで虫獣に骸を啄ばまれ、やがて土へと還ってゆく

それでようやく報われたのだと、ココロの底から満ち足りねばならない

あるいはもしかしたら、それすらも期待してはいけないのかもしれない

何の役にも立たないまま虚しく生き永らえ、その死後も何の役にも立たず、路傍に朽ちた骸に気付いた人々からはゴミだクズだと罵られ、それでもけっして、誰も何も呪わない

そういう者にならなければならない

それでも愛おしい人の幸いを想い続ける者にならなければならない

<よしだたくろう:望みを捨てろ>

以前は 中島みゆき:あした天気になれ デシタ>

コメント

  1. ひみつのアッコちゃん より:

    ちょっとしたしょうもない
    お話だけど・・聞いてください。
    むかし花火大会の歩道橋で
    一平方メートルに大人15人近くの密度で犇く状態に陥った時、最初は次から次と花火の見物人を吐き出してる駅方向に向かってみんなで「戻れ」って叫んでた声もでなくなり、次の呼吸のための胸が膨らます余地もないほどに圧迫される。
    それでも人は歩道橋の両脇から無神経に人をゴミのように押しながら進もうとする。やがて抵抗する足すら宙に浮き始めた時・・
    「意識が遠のく」感覚、「死」の感覚を初めて体験した。
    実際に数メートル先では己自身の足で我子を押し潰す地獄が現出していた。
    数十分後
    わたしは国道二号線の道端の古びたベンチに呆然として腰掛けていた。
    ひどく涼しかった。
    その時「生きる」って
    なんの形容詞もいらないと思った。
    ごめんなさい、決してロビンさんを
    諭してるんじょないよ。
    なんて言っていいかわからないけど
    「お話」が今必要かなって・・・
    その・・「涼しさ」の感覚・・が
    伝えたくって。

  2. ビバ☆メヒコ より:

     サウイフモノニワタシハナレナイ、からこそ賢治は『アメニモマケズ』を書いたのではなかろうか。
     人格のサンクチュアリとでも言うべき『達観』などには、人間が獣である限り、行き着けないと思う。人は皆、深い深い業にまみれて生きていかねばならぬ宿命を背負って生まれてきているんじゃないかな。
     それまでの人生を振り返った時に、獣性に満ちた涙を(一時の無責任なカタルシスにしかならぬと知りつつも)、流さずにはおれない。
     ここで言う獣性とは、慈しんだり愛したりする感情も含める。ままならなかった事を、踏みにじってきたことを、許してきたこと、許されてきたこと等の、全ての感情が獣性なのでしょう。
     人格完成者とはどの様な人間を指すのか考えると、ロボットのようなものしか浮かんでこない。理不尽に命を奪われようとして「どうぞ」と差し出す人間は、アホだ。それは完成者ではない。完成者は、無の心を持って差し出す。すなわちロボットなのだ。
     頑張ろうとすれば苦しいし、頑張らないでいると悔しくなる。触れないでいようとすれば悲しいし、触れようとすればもっと悲しい。
     ままならんなぁ。

  3. より:

    こんにちは~
    おひさしぶりよぅ
    元気してますか?
    いつだって←ちょっとでふぉ
    忘れてなかったよ
    どうしてるかな?って。
    このブログ、今年の二月で止まってるけど
    何かあったの?
    私もさぁ、いろいろあって、半年以上凹んでいたんだけど、やっとこの頃^^もとに戻りつつあるのですよん
    元気な声を聞かせてね
    絶対に聞かせてね

  4. >梅ちゃん
    ぃよぅ、梅ちゃん♪
    ずいぶんとおひさしぶりだねぇ
    気にかけていてくれて有難う
    お互い、どうにかこうにか生き永らえていたみたいだねw
    こっちは相変わらず、ネガティブなカンジで過ごしてるょ
    2月以降、記事をアゲてない理由は二つあるかな
    ひとつには、単に記事にするほどのコトがないから
    どうでもいいような戯言ならツイッタで充分だし、ダラダラと文字を連ねて語りたいほどの話題もあんまり見出せなくてね
    だからサボってるのかな
    もひとつは、自分のココロを枯らしてる最中だから、かな
    この記事とか、いっこにこ前の記事、それからそれらのコメントの中で書いてるんだケドね、自分の心中に生じてくる「願い」とか「望み」とかをね、枯らして殺してしまえないものだろうかとね、悪戦苦闘している最中なんだょ
    己のココロを可能な限り枯らし尽くして、カラカラの干物みたいにしてしまおうとしてるんだ
    どうして望みや願いをギリギリまで削ぎ落とそうとしているかという理由は、いっこまえの記事に書いてあるょ
    果たしてそんなコトが可能なのかは判らない
    出来るという自信も確証もない
    でも、そうでもしないと、ワタシというオカマは、愛おしいヒトを呪う者に堕ちてしまう様な気がするんだ
    ソレだけはイヤなんだ
    「そうゆうモノにだけはなりたくない」というのが、ギリギリ切り詰めたワタシの願いなんだょ
    怨霊や祟り神みたいなモノにはなりたくないんだ
    ↓へ続く

  5. あの方は、ついこないだ御結婚なさって、お子さんが生まれて、たくさんのステキなおともだちに囲まれて、いま幸せの真っ只中にいらっしゃるんだ
    きっとステキなお嫁さんなんだろうなぁと思うんだ
    お二人でいる時には、きっとラブラブなんだろうなぁと思うんだ
    こないだの連休には、お子さんを連れて、御家族でドコかにお出かけなさったんだろうなぁと思うんだ
    おともだちと、楽しく過ごされたりもしたんだろうなぁと思うんだ
    ワタシの愛おしいヒトが、いま幸せの真っ只中にいらっしゃるんだ
    でも、罪人のワタシは、その輪の中にはけっして入れないんだ
    でも、そのコトを恨んだり妬んだり拗ねたりしてはいけないんだ
    近寄りたいんだょ
    微笑みかけたいんだょ
    話しかけたいんだょ
    でも、それをしちゃいけないんだ
    「そっとしておいてください」って、ソレがあの方が最後におっしゃったワタシへの言葉だったからね
    あの方の御言葉である以上、それは絶対なんだ
    たとえ放逐されようと、ワタシは今でもあの方のモノだからね
    だから、近寄るコトも、微笑みかけるコトも、話しかけるコトも封殺された状態のまま、愛おしいヒトから徐々に忘れ去られて、やがて老いて死んでいくのをただじっと待たなくちゃならないんだ
    だから、自分のココロを枯らしてしまわなければならないんだょ
    願いや望みを枯らして殺してしまわなければ、あの方やあの方の大切な方々をきっと恨んでしまう
    呪ってしまうでしょう?
    だからがんばってクチをつぐんでいるんだょ
    クチを開いたら、恨み言をつぶやいてしまいそうな気がするからね
     
    ↓へ続く

  6. でもきっと、ワタシはいい加減なオカマだから、そのうち気が向けば何か書いたりもするでしょう
    何かを語るコトはキライじゃないんだもんね
    黙っているのは、そんな理由からです
    この先も、あの方に至純の想いを届け続ける者でありたいからです

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