八年目の毒虫

言ってみればワタシというのは、害虫や寄生虫、病原菌みたいな存在なのだ

存在しているだけでヒトサマに不快な気分をもよおさせ、もし不用意に関わったりすれば、関わったヒトのみならず、その周囲にまで疫病を撒き散らしてしまうような、ヨノナカから駆除されるべき有害な蟲なのだ

自分というのはそういう、ゲジゲジやナメクジやギョウチュウやエボラウィルスみたいな存在だと肝に銘じておかねばならない

決して必ず、忘れてはならない

ゲジゲジやナメクジやギョウチュウやエボラウィルスは、ヒトのフリをして、ヒトに近づいてはならない

どれほどそのヒトのことが愛おしくても、そのヒトの幸せのために、けっして近づいたりしてはならない

ヒトに恋したナメクジが、夜半、静かな寝息をたてている想い人の傍に、ズルリズルリと這い寄っていく様を想像してみるといい

怖気走って肌が粟立つではないか

ありのままのワタシなどというのは、そういう、どうしようもなくロクでもないモノなのだ

何をどうやろうと如何に足掻こうと、ワタシとは結局のところそういうモノなのだというコトを、あの日から毎年12月4日がやってくる度、ココロに刻みつける

時が経って、少し乾いた傷口のカサブタをわざわざ強引に毟り取り、血液と漿液と膿とでいまだ赤黄色くグジグジとしているソコに、斬れ味の鈍い刃を突き立ててザクザクと抉り、劇薬の軟膏を何度も何度も擦り込んで己に思い知らさなければならない

ナメクジがヒトのフリをしてヒトに近づき、ヒトからの愛を得ようとした罰だ

そういうナメクジが、愛したヒトのために本気で役立ちたいのなら、むしろ自らすすんで滅してしまえなければならないが、愛したヒトの心を煩わせないためには、けっしてこれ見よがしの自殺などしてはならない

そのヒトのために滅したなどと、微塵も感じさせてはならない

それがあたかも自然死であるかのように、ひっそりと自らを滅してしまわねばならない

己という疫病源が、そもそも最初からこのセカイに存在などしていなかったかのように、キレイサッパリそのヒトの記憶から忘れ去ってもらえなければならない

ヒトに恋したナメクジの、至誠や殉愛などといいうのは、ヒトにとっては無価値で傍迷惑この上ないモノなのだ

それ以外のなにものでもなく、その程度のいわば汚穢のようなモノだ

ありのままの自己を是認できるなどというのは、所詮 己がヒトがましい者だけに許される理屈であって、決してワタシのような穢れた存在には当てはまるモノではない

己を勘違いした挙句、己惚れて肯定などしてはならない

ワタシは世に無用有害の毒虫だ

かつてワタシを愛してくださった方に害を為してしまった毒虫だ

八年目の今日、あらためてこのココロに刻み込んで懺悔し、かつ備忘とする

本当にすみませんでした

<松たか子:Let it go >

コメント

  1. ミルダセブン より:

    8年。すごいね。
    その人への思いがぶれてないのがすごい。
    けど、どうなんだろう。
    ロビンさんご自身の身も心も
    そこまで蝕んでまで
    思い続けなければならない世界
    すごく難しくて立ち入れない感
    立ち入ってはならない?
    わたしにいつか伝えてくれた 
    土の上に描いた自分の周りに引いた
    まーるい円みたいかもだよ(^^)
    ごめんね。
    でもある意味すごいこと。
    高尚な世界かも、だね。
    辛そうだけど・・・

  2. >なな
    記事にも書いたんだケド、これはさ、「懺悔と備忘」として記述したんだ
    懺悔てゆうのは、自分の仕出かした「罪」を告白して悔いるコト
    備忘てゆうのは、自分が忘れちゃうかもしれないコトに備えて文字などに記しておくコトだよ
    オレはさ、こんな深刻そうな記事書いてるクセにさ、自分が咎人であるコトも忘れて浮かれちまったり、咎人にあるまじき不逞な言動をしたりしがちなんだ
    で、後になってハッとそれに気付いて後悔したりすることが多いんだわ
    たとえばね、オレが殺人犯だとするでしょ
    で、裁判受けてオリに入れられてさ、何年か経って、刑期を終えて出所してきたとするよね
    でさ、まぁ、法的には既に罪を償ったコトにはなってるワケだからさ、出所後は何しようと別に勝手なワケで、出所当日に持ってる金でホストクラブかなんかに行ってさ、チャラいあんちゃんを横にはべらせて、旨い酒呑んでどんちゃん騒ぎしたって、べつに何にも問題はないワケだよね
    でもさ、被害者側の遺族がさ、そのザマ見たらどう思うだろう
    納得できないと思うんだよ
    ぶっ殺してやりたいと思うんじゃないかな
    少なくともオレが被害者側だったらさ、明らかな殺意を抱くだろうし、たぶん実際に殺すだろう
    刑期を務め上げて出てきたくらいでさ、犯した罪の全てがあがなわれたなんて思ってもらいたくないもんね
    ↓へ続く

  3. ↑の続き
    ソレと同じでね、時間にすればまぁそれなりに長いような気もするんだケド、でもやっぱり「たかだか8年」なんだよ
    親・兄弟に離縁されようが、職を失おうが、周囲からオカマと揶揄されようが、精神の平衡を失おうがさ、そんなもんはオレが犯した罪に比べればカスみたいなものなんだ
    オレがどれだけ長い時間、このどうしようもなく救われない状況の中でのた打ち回ろうがね、そんなのはオレの犯した罪の重さからすれば全く釣り合いが取れないようなコトなんだ
    でもそれをさ、オレは時々忘れるんだよ
    咎人はね、己の犯した罪の重さをね、片時も忘れちゃいけないんだと思う
    まして、その罪はさ、自分にとって最愛の人に対してのコトだったんだから
    だからこの罪に対するあがないにはね、誰も立ち入れやしないんだよ
    立ち入れたら逆におかしいでしょ
    だって、オレがあの方に対して懺悔してるんだもん
    あの方以外の他の誰も、オレの罪を赦せやしないし、仮にあの方が赦したとしても、オレ自身がオレを赦せないよ
    だからオレは、自分の犯した罪の重さを忘れないために、オレの傷口を自分で抉って劇薬を擦り込んでるんだよ
    ヤクザがヘマこいた時、指つめるのと似てるね
    そのキズを見るたびに、そのキズが疼くたびに、オレは自分の罪の重さを思い出せるだろう
    忘れないためなんだ
    忘れちゃダメなんだ
    これは咎人が死ぬまであがない続けなくちゃならない責務なんだ
    だから、誰も手を差し伸べてくれなくてもだいじょぶなんだよ
    こんな理屈っぽいキチガイに言葉をかけるのも怖かったろうに、うれしかったよ
    どうもありがとうね

  4. なな より:

    いえ、、
    、罪って、、、なんか、ごめんなさい。なんか、頑張って喋りかけたんだけど、
    なんかごめんなさい。
    低いレベルで喋りかけちゃった。
    なんか、、残った人生楽しくしてほしいなって思っただけです。
    慎みます。

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