地縛霊

十月もようやく末となった

週が明けると、佐賀県では唐津くんちとバルーンフェスタが行われる

4年前のちょうど今頃、あの方が教えてくださった、佐賀県で行われる大きなお祭りのふたつ

今年もあの方は、企画側の立場でお忙しいのかなぁ…

「夜になると、地上に係留された気球に明かりが灯されて、幻想的な美しさだよ」って、教えてくださった

「いつか、こっちに来たら、一緒に連れていってやろう」と、おっしゃってくださった

唐津くんちは盛大なお祭りで、お祭りの間、唐津の人たちは数十万から百万単位でお金を使うって教えてくださった

佐賀県のガイドブックは、書店で探してみても意外なほど少ない

でも、そんな状況の中、ようやく見つけて手に入れたガイドブック一冊と佐賀県地図

佐賀市鍋島にある佐賀大医学部を中心に、駅までの道、お城までの道、NHK辺りまでの道…

地図を舐めるように見回し、聞き覚えのない名前の地名や通りを指で何度もなぞりながら、「この辺に住んでいらっしゃるのかな」とか「この辺でお買い物するのかな」とか「この川沿いの道を一緒に並んでお散歩したりできるのかな」とか「今頃はどの辺りにいらっしゃるのかな」などと、独り想いを馳せる

ガイドブックに載っているステキなお店を照らし合わせて、「ココに一緒に入ってお食事してみたいなぁ」とか「待ち合わせをするのなら、この辺りが良さそうかなぁ」と、独り妄想する

決して叶うハズのない願いを抱えて、それでもそれを諦めずに生きていくのは、ある意味でひどく虚しい生き様だ

未練たらしい、モノ欲しげな、みっとも良くない生き様だ

とっとと諦めて、実現可能な「違う何か」を求めて生きて行くコトの方が、よほど地に脚の着いた、ムダのない生き方だ

少なくとも「自分に残された有限の時間を有意義に過ごす」という点で、今の自分の生き方よりも格段に手応えのある実時間を過ごせるのだろう

でも、だめだ

ワタシはもう、そういうコトは投げてしまったから…

ワタシの心も身体もぜんぶ、あの方にお捧げすると自分の心に深く刻み込んだ

だから、あの方がワタシを不要だとしても、棄てたつもりだとしても、ワタシにとっては相変わらず「ワタシの全てはあの方のモノ」なのだ

決して帰って来てはくださらないこの場所で、ただずっと、自分の存在がうっすらと消えてなくなるまで、立ち尽くしているだけだ

あの方がワタシを置いて行ってしまったこの場所で、決して届くハズのない想いを、自分という存在ががなくなるまでずっと祈り続けるだけだ

あの方と、あの方の大切な方々にいつも祝福の花びらが降りそそぎますように…

そう、祈り続けるだけだ

それで良い

それだけが叶えば良い

バルーンフェスタも、唐津くんちも、鈴木整骨院も、たいほうラーメンも、もう夢見ても仕方のないコトだ

そういうコトを諦める代わりに、あの方とあの方の大切な方々の幸せを願うのだ

そう思いながら、バルーンフェスタや唐津くんちの日取りを気にしている

そう思いながら、地図やガイドブックを今も独り眺めては妄想している

我ながら、めんどくさい性分だ

きっと地縛霊っていうのは、こういう体質のヒトの残留思惟みたいなモノなんだろう

ワタシには資質充分だねww

<永沢竜二:未練通り>

コメント

  1. ビバ☆メヒコ より:

     「我ながら面倒くさい性格」とは、ほんとにそうだよなぁ。私も、客観的な冷静な自分を縛り付ける「念」のようなものに常に心を縛り付けられてます。口に砂糖を無理矢理入れられて「甘い」と感じてしまうのと同様、そう自ずと思ってしまうから、非常に面倒です。煩悩の数が多いのか、なんて考えてしまいます。地縛霊ならぬ自縛霊ですよ、ほんと。
     在りたいと願う理想の自分と在る自分のギャップを時々感じて、ぞっとしますよ。とっさの行動に如実に表れますね。修行が足らないのか、修行という問題ではないのか。本当に嫌だなぁ。年とってもこれだから、我ながら嫌になる。
     と、今日は感想というより、ぼやいてみました。
     

  2. みるだセブン より:

    「あの方」ともう一度会えたらいいのにね。
    ロビンちゃんこんなに綺麗になったよ
    ずっと彷徨っていたんだよ
    ってね。
    一緒にバルーン乗れたらいいのに・・

  3. 千葉っぷ より:

    仕事に忙殺された千葉っぷ参上(笑)
    思うに、誰しもが地縛霊の素質を持っているような気がします。
    漠とした意見なのかもしれませんけどね。
    自分のことを振り返ってみても、そんな気持ちをもったことは
    必ずあるだろうと思うのです。
    だから、私の場合、
    「めんどうくさい性格」だと思わないようにしています。
    →思ったらキリないもんね・・・ともいいます(笑)
    追伸
    ここで伝言ゲームするのもなんですが、ビバメヒコ殿。
    実は先月、貴君の本拠地に仕事で出向いておりました。
    大和八木駅周辺で私語とでした。
    とはいえ、平日、昼間の仕事。かつ、その足で名古屋入りというスケジュールだったため、
    連絡を入れませんでした。
    と本当に伝言版として使ってしまった。
    ロビンちゃん、ごめんね!!!

  4. むかしむかしの一途な娘のおはなし

    「雄略天皇の頃…」というから、もはや神話の時代と言っても良いのかな

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