虚無的な痛み

昨日、共立美容外科で「eCO2フラクセル」という施術を受けた

レーザーで無数の細かい孔を肌に開けてキズを発生させ、皮膚が自己修復する機能を故意に生み出し、結果として肌を生まれたてのベビースキン並みにするという技術だ

思春期のニキビ処理を誤ったせいなのか、ワタシの肌はイマイチ美しい状態にない

ファンデを塗っても、いわゆる女子並みの質感がでない

つるんとした「剥きたてタマゴ肌」が理想だとすれば、ワタシの肌は「夏みかん」みたいなカンジ…

コレを改善するための施術だった

この技術の存在は、まだ職に就いていた頃から知っていたし、その当時なら収入も安定していたから、もしその頃に行っていれば経済的にも大分ラクだったコトだろう

それでも敢えてやらずにいたのは、ワタシの体質が怖かったからだ

ちょっとしたキズや、ヘタな看護士の注射の針などでもケロイドができやすい体質のワタシには、皮膚にメスを入れたりキズを付ける行為はもっとも避けるべき施術だったから

実際、ワタシの右脇下には、良性腫瘍を切除した際のキズがケロイドとなって醜く残っている

この体質が常にアタマにあったから、オカマ転身を決意した後も、肌にメスを入れたりキズを付ける行為を徹底して忌避してきた

にもかかわらず、昨年春、ワタシはエラ骨を切除した

今春、アゴ下から頬下の脂肪を除去した(エラを切ると、張ってた分の皮膚と脂肪がたるむからねぇ…)

そして昨日、フラクセルの施術を受けた

ずっと忌避していた行為を、ここ最近立て続けに行うのはきっと、ようやくワタシが腹をくくったからなのかもしれない

あるいはもはや、ココロのドコかに諦めが生まれたからなのかもしれない

が、そうは言ってもどの回も、施術前から後にかけては暗澹たる気分が心に立ち込める

失敗して顔中ケロイドになるかもしれないし、成功しても期待したほどの効果は現れないかもしれない(エラ切りは口の中から切開していくからケロイドはできないケドね)

麻酔にしくじって、意識も戻らないまま中途半端なオカマとしてこの世とおさらばかもしれない

そして、にもかかわらずバカみたいに銭がかかるのだ

エラで80万

脂肪除去で15万

フラクセル一回で8万…

無職無給の中年オカマには甚だ手痛い出費で、さすがの退職金も底をつきつつあるw

今回のフラクセルの施術手順はこんなカンジだった↓

洗顔してメイクをぜんぶ落とす(うぉー、オッサン顔が露見するぅ…)

ベッドに仰向けに寝かされ、施術部位に麻酔クリームを塗布される

肌が少しだけピリピリするが、浸透を促すため30分ほどそのまま休憩

時間が来るとセンセイが登場し、ようやく施術開始♪

レーザー照射! 麻酔クリームを施していてもさすがに痛い(ヒゲの脱毛よりはガマンできたケド、まるで皮膚を紙ヤスリか何かでこすられてるみたいな感覚だった それと、レーザー治療には必ず起こるコトだケド、肉のこげる臭いも不快だ)

両頬と鼻をあわせて10分強で施術終了

顔中に孔を開けられ、若干の放心状態(強姦されるってこんなカンジかな… いぁ、この場合は和姦なのかw)

顔全体が痛みを伴ってとても熱く感じられる

冷たく凍らせたタオルで顔全体をアイシング

30分ほどクールダウンさせて本日の施術終了 一月ほど経過したらまた同じ施術を行い、効果に満足するまで繰り返す 個人差はあるケド、だいたい2~6回くらいの施術で皮膚全体が入れ代わるそうな

アイシング用のタオルで顔を覆っている時、瞳を閉じて痛みを堪えながら想った

「なんでワタシは、こんなコトをしているんだろう…」

初めての様な、あるいはこれまでにも何度も胸に溢れてきた様な、そんな想いだった

エラの時や脂肪除去の時は全身麻酔だったから、こうゆう気分に襲われる前に意識が消失してしまっていた

「何故ワタシは、敢えてオカマに堕する途路を選んだのか」

「何故ワタシは、父も母も弟も相方も失い、職も失い、他人サマから後ろ指をさされ嗤われる途路を敢えて選んだのか」

「何故ワタシは、無職無給にもかかわらず、こんな無意味な出費を続けているのか」

「何故ワタシは、失敗し醜く終わるかもしれぬ施術を敢えて受けているのか」

「何故ワタシは、今こうして痛みに耐えているのか」

「なんでまた、こんなバカげたコトになってしまっているのか…」

想いながら、あまりに情けなくなって、閉じた瞳から不意に涙が溢れた

大半はタオルに沁み込んだが、目尻側に流れ落ちた涙は皮膚に開いた孔をチリチリと刺激した

<中村中:あたしを嘲笑ってヨ>

アンデルセンの童話にある人魚姫は、恋した王子と関わるため、その舌を魔女に譲って、代わりに二本の脚を授かった

二本の脚を授かるコトで人魚姫は人魚ではなくなり、それゆえ、父や姉たちと共には暮らせなくなった

それほどの代償を支払いながら、人魚姫に明日の方策があったというワケではなかっただろう

それでも、二本の脚を手に入れずにはいられなかった

海界でもっとも美しい声と引き換え、家族と訣別し、歩けばナイフに突き刺されるかの様な痛みに襲われようとも、彼女にとってそれは必然だった

それほどに、王子が愛おしかったのだ

ワタシがしているコトもおんなじだ

ワタシに明日の方途があるワケではない

それでも、オンナの容姿を… 否、オンナとなるコトを望まずにはいられなかった

安穏とした日常と引き換え、家族に拒絶され、歩けば後ろ指をさされ嘲笑されようとも、ワタシにとってそれは必然だったのだ

それほどに、あの方は愛おしい存在だった

人魚姫の恋はけっきょく報われず、王子を殺して己が身を解呪するコトをも放棄した彼女は、海の泡と消える途路を選んだ

ワタシの恋も当然のごとくに報われず、かといってあの方を呪うコトも海の泡となるコトもできず、こうして今日も、寄る辺もなく、無益な出費を重ね、このバカげた痛みに耐えている

きっとワタシは、この呪わしい肉体が消え果るまで、こんなバカバカしいコトを繰り返すのだろう

そして、いつまで繰り返したトコロで、あの方がワタシのもとへ還って来てくださるコトは決してない

そんな、あまりにも虚しい痛みがこの嘔吐物のような駄文を記述させている

先の涙もようやく枯れ果て、今はただ、両頬がヒリつく刺激を感じるのみだ

ココロがやっと虚無に覆われ、眠りが近づいて来たのだろう

どうかキレイな肌になれますように…

ほんの偶然、あの方に出逢ってしまっても、どうか幻滅させてしまったりしませんように…

どうかあの方に喜んでいただけますように…

<山崎ハコ:ジプシーローズ>

コメント

  1. より:

    読みました。
    壮絶な決意と希望…
    人魚姫はそれでも後悔はしてないと思う
    後悔は何もしないでおくことだと思う
    ワタシも自分にそう言い聞かせる
    何かしてそれでもダメだったら
    きっぱりさっぱり諦める!
    … て、できないから悩むんだよね
    言葉では容易いけど、ワタシは臆病だから
    きっとうじうじするだろうなぁ…(T-T*)

  2. ・・・ より:

    泣かないで。

  3. >梅ちゃん
    いょぅ梅ちゃん、コッチではおひさしぃ{%嬉(チカチカ)hdeco%}
    人魚姫はコドモの頃から大好きなおはなしだったんだケドさ、まさか自分も似たようなありさまに陥るとゎ、さすがに予想もせずに生きてきたょw
    んでもまぁ、こうゆうのはさ、生き方ってヤツの問題なんじゃないかな
    こうゆう事態を招来したり、そうゆう状況に陥っちゃうのは、自分の性分がそうさえるんだと思うょ
    人魚姫にシンパシーを抱くようなコドモだったから、自分の生き方もソレをなぞった様になっちゃうんだゎ、きっと…w
    たとえば同じような状況に陥ったとしても、キャラが違えば対処の仕方も違うワケで、どんな対処にも等しく価値はあると思うな
    こうゆう自暴自棄なオカマが言うのもなんだケド、自分ってヤツを大切にするのが一番なんだょ、きっとね{%うれしい(ルンルン)hdeco%}

  4. >…サマ
    はじめまして、コニチワです{%七夕(チカチカ)hdeco%}
    だいじょうぶ
    今日は既にけろりとした顔で、自虐や皮肉のひとつも言えるくらいに復調しているようですょ^^;
    こぅゆう、テキトーなヤツですからあんまり心配しちゃダメですょ{%謝(ヒタヒタ)hdeco%}
    暑い盛りがやってきています
    塩分と水分をたくさん摂って、ご自愛くださいマセ{%感謝(チカチカ)hdeco%}

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