ときめきに死す…

こんな記事↓がアガっている

後々のリンク切れに備えて、以下に概要を記載しておく

深海イカのオスはバイセクシャル？

深海に棲むキタノヤツデイカのオスは、繁殖相手をより好みしないようだ。

最新の研究によると、このイカのオスは、メスだけでなく、ほぼ同じ割合でオスとも交接するという。

研究チームは、ロボット潜水艇を利用して、水深400～800メートルの暗い深海に住むイカの生態を記録した。

オスは求愛行動の後、大きなペニスを使って、メスの外套膜（がいとうまく）や腕組織にある穴を通じて精子束を送り込む。

100匹以上観測した結果、メスとほぼ同数のオスが、他のオスから交接の際に付けられた精子束を体の周囲に抱えていることが判明した。

どうやらオスは、精子束を相手に付けるとき、相手の性別を選んでいない様子なのだ。

「オスイカがほかのイカを見つけた際、“交接の相手にするかしないか”を判断する時点では、まだしっかりと相手の性別を識別できていない　このため、性別は関係なく、いちかばちかの賭けに出るのだろう」と、モントレー湾水族館研究所のヘンドリック・ホービング氏は語る。

「キタノヤツデイカは性の区別が難しく、外見上の違いはメスの皮膚の一部にしわが寄っている点くらいだ。このため“闇夜で一発” 作戦に頼らざるを得なくなり、相手が異性かどうかはそれほど重視されない。 深海という異性を発見しにくい過酷な環境に適応した結果だろう。」

しかし、遺伝情報を次代に残し得た者もそうでない者も、交接の直後に死を迎える。

長い独り身の生活を過ごしたキタノヤツデイカの“愛の行為”はそこで幕を閉じるのだ。

記事ココまで

コレは、己が「確かにこの世界に存在したのだ！」という証を次代に遺すため、涙ぐましい程の創意工夫の果てに辿り着いた「種としての境地」だ

「成功するか否かは後の世の人々の評価に任せるさ　己の存在証明のために、今オレにできる最善を尽くだけだ…」　そんなオスイカの呟きが聞こえてくるかのようだ

ただ、ひとつだけ気がかりなのは、相手がメスでない場合、交接中のオスイカはそのコトに気付いたりするのか…　という点だ

気付いてても完遂しちゃうのか、気付かずに完遂しちゃうのか…

行為の最中に気付いちゃって、それでも完遂せざるをえないとしたら、それはお互いのオスイカにとって、はなはだ不幸な気がする

「嗚呼、よりにもよってこのオレは、一世一代の晴れ舞台でこんなチョンボをやらかしちまったのか　でも、ココまで来ちまった以上いまさら後戻りなんてできやしない　ちくしょう、オレの一生はやっぱりこんな程度のスカ人生だったのか…」なんて思いながら、なかば白けた気分で交接を完遂し、その直後に死を迎える

それはきっと、今際の際に「くそったれ…」と吐き捨てねばならぬほど、極めて不本意な一生であろう

できうるならば、交接の最中もその後も、そんなコトには気付かせぬまま逝かせてやりたいモノだ

至上の晴れ舞台で、ゲーム終了の直前、自分の一生の結末が「オウンゴール」だったのだと気付かされるのは、あまりに残酷だから…

まして後がないだけに、あまりにも痛切だ

そうであるだけに、気付くべきではないし、気付かせるべきでもない

オスイカは、ときめきのうちに死すべきである

でなければ、彼らはの在りようはあまりに哀しい

恋を謳歌している二人に、「現実」などというモノは欠片すら一切不要だ

恋は恋だけで自己完結するモノだし、恋の後先に思いをめぐらせたりするのも不純で無粋なコトだ

そして、もしできうるならば、恋の「絶頂の直前」で突如二人は意識を喪失し、そのまま即死するのが最良である

恋の絶頂期を過ぎて、少しずつ関係が饐えてきて、なんだかお互いのなんでもないトコロが妙に気に障るようになる…　なんていうのは、とてもとても不幸なコトだ

腰のあたりグイッって抱き寄せられ、恋しいオトコの顔がどんどん自分の顔に近づいてきて、「さぁ、いよいよキスしてもらえるのよー」っていう直前で二人そろって即死しちゃうのが、理想の恋の結末だ

「もっともっと、この先もず～っと、ワタシはこのヒトに愛してもらえるんだわー」って思えてるトコロで、何にも分からなくなって終わる…

つまりソレは、「永遠に終わらない恋」だ

登り詰めてしまったら、あとはただ、下るしかない

甘い夢の中で出逢い、甘い夢の中で共に戯れ、甘い夢と共に滅ぶ

報われぬまま散ってゆかねばならないキタノヤツデイカのオス達にも、そんな最期が訪れているコトを祈る

かつて、最愛の人がワタシと共に見た甘い甘い至上の夢を、この手で粉々に打ち砕いてしまった償いに…