ワタシの愛したヒト

5年前の今日、あの方はワタシの手の届かないトコロへと行ってしまわれました

5年前の今日、無明の闇に覆われたゴミ捨て場に独り、ワタシは廃棄されてしまいました

あの方に追いすがるコトも、あの方のお帰りをお待ちするコトも拒絶され、この闇の淵に置いていかれてしまいました

置いていかれても仕方のない、そういう存在だったのですから、ソレは仕方のないコトです

オトコでもなく、オンナですらない嘘つきのオカマが、己の仕出かした罪科にふさわしい分相応の場所で、分相応に野垂れ死ぬ

そういう、ごく当たり前の立ち位置に戻った… ただ、それだけのコトです

にもかかわらず、この漆黒の天蓋の彼方、遠い遠い虚空の更にその果てを、今もワタシはずっと見上げています

薄雲に隠されて見えなくなってしまった星の、その微かな煌きを探すように、あの時からずっと

あの方がワタシに背を向けて行ってしまわれた、その方角を見つめ続けています

閑として寂たる夜の砂浜の、 その闇空に冴々と輝く、切り絵の如き有明月

あの方はワタシにとって、「太陽の光を照らし返す もうひとつの太陽」そのものでした

<谷山浩子:私の愛した人>

コメント

  1. フォウ より:

    色々有りましたが 帰って来たぜ・・

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