健気なMねこ

無題

今日はあの方のお誕生日です 奥さまやお子さん、おともだちに囲まれ、愛する故郷に抱かれて、穏やかで幸福な時間を過されたことでしょう 今年もまた、何もお届けできないままです こうやって、あの方の記憶の中から薄っすらと消え失せていくコトでしか、あ...
健気なMねこ

七年目

あの方の夢を打ち砕いてしまった日から数えて、今日で7年が経ちました あの方が今、何処で、何方と、何をなさっていらっしゃるのか、もう何もわかりません 近寄ったり、話しかけたりしないように ワタシにまつわる忌まわしい記憶を思い出したりしないよう...
ココロに映りゆくよしなしゴト☆

こんな晩 <改訂版>

八雲の作品に、持田の百姓(別名「こんな晩」)というワタシ好みの話がある 以下、引用する 昔、出雲の持田浦という村にある百姓がいた。 大変な貧乏暮らしで、子供が出来るのを恐れていた。 それで妻が子供を生むたびに川へ流してしまった。 そして世間...
特定の日に想うコト…

誰かの願いが叶うころ

抱き寄せるべき伴侶 慈しむべき子供 語り合うべき朋友 愛すべき故郷 還るべき苫屋 そういうモノが確かに在って、そういうモノに囲まれているというコトは、それだけでもう、充分に幸福なコトだ そういうモノたちに抱かれて迎える、年に一度の祭礼の季節...
ココロに映りゆくよしなしゴト☆

ひなた と ふたば

ほっこりと暖かい日向の庭に、愛らしく芽吹いたちいさな双葉のように 兄妹ふたり仲良く、すこやかに育て いつか訪れる別れの時まで 伸びよ、我が若草 そしてどうか、新たに息づく者たちに漲る生命の迸りを 老い朽ちてゆくワタシにも、ほんの少しだけ分け...
ココロに映りゆくよしなしゴト☆

36年目の夏

地域の救急救命センターが付近にあるせいで、毎夜数回、夜半過ぎのサイレンの喧騒がかなりの音量で周囲に鳴り響く 今夜も既に3度、目を覚まされている ああ、また、何処かの誰かが、怪我したり倒れたりしたんだなぁと、思う 生還できる人、逝ってしまう人...
ココロに映りゆくよしなしゴト☆

夏日狂想

「秋日狂乱」    中原中也僕にはもはや何もないのだ僕は空手空拳(くうしゅくうけん)だおまけにそれを嘆(なげ)きもしない僕はいよいよの無一物(むいちもつ)だ それにしても今日は好いお天気でさっきから沢山の飛行機が飛んでいる――欧羅巴(ヨーロ...
ココロに映りゆくよしなしゴト☆

永訣の朝

けふのうちに とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ    (あめゆじゆとてちてけんじや) うすあかくいつさう陰惨な雲から みぞれはびちよびちよふつてくる    (あめゆじゆとてちてけんじや) 青...
ココロに映りゆくよしなしゴト☆

惜しむ心

髪が、ひとすじ抜け落ちて、左手の甲の上にかすかな感触を残し、その骸を横たえた 近頃の体調のせいなのか、あるいは永年にわたって大量に摂取してきたエストロゲンによる体質の変化によるものなのか、はたまた寄る年波というモノのせいなのか、ここ最近、ワ...
オカマの在りよう

サウイフモノニ ワタシハナリタイ

この世に生き永らえ、その永らえた分だけ業は積み重なり、己が理性を拘束する強固な縛鎖となる ワタシの如き凡人は、生きて、苦闘し、煩悶した分に見合うだけの、相応の見返りを欲するようになる 苦闘した分に見合うだけの、生きた手応え 懊悩した分に見合...
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